薩摩つげ櫛の歴史と、一生ものに育てるお手入れの基本

「わたしの名品帖」で扱う別府つげ工芸の「つげブラシ」は、国産薩摩つげを使い、一本一本手で丁寧に磨き上げ、椿油を染み込ませて仕上げられています。今回は、その素材と深く関わる薩摩つげ櫛がどのような歴史を持ち、どんな土地で育まれてきたのかをご紹介するとともに、つげブラシを長く愛用するためのお手入れの基本もまとめました。

薩摩つげ櫛の歴史・成り立ち

薩摩つげ櫛の起源は江戸時代中期にさかのぼるとされています。指宿市の公式サイト「指宿まるごと博物館」では、宝暦治水と呼ばれる木曽川・長良川・揖斐川の治水工事で多額の費用負担を強いられた薩摩藩の武士たちが、内職として櫛づくりを行ったのが始まりらしいと紹介されています。また、江戸時代には全国的にその名を知られていたとも伝えられています。

この由来は、指宿市の公式ページでも「始まりらしい」と紹介されている伝承的な説明です。本記事でも、確定的な史実としてではなく、地域に伝わる由来として扱います。

産地・鹿児島県指宿市

薩摩つげ櫛の産地は、鹿児島県指宿市です。指宿には古くから、女の子が誕生するとつげの木を植え、成長して結婚する際には、その木で作った「つげ櫛」を花嫁道具の一つとして持たせるという風習があったと伝えられています。一本の木がひとりの女性の成長と歩みを見守ってきたという、土地に根づいた文化のかたちがうかがえます。

薩摩つげ櫛は、鹿児島県の県指定伝統的工芸品にも指定されています。素材となるつげの木は木目が細かく、粘りやしなやかさを備えるとされ、古くから櫛や印鑑、細工物などに用いられてきました。

つげブラシ・つげ櫛のお手入れの基本

つげブラシ・つげ櫛のお手入れについて、別府つげ工芸の公式サイトで紹介されている方法をもとにご案内します(お使いの製品に付属する説明がある場合は、そちらを優先してください)。

・お手入れの目安は月1〜2回程度。空気が乾燥する時期は、回数を少し増やすとよいとされています
・椿油をブラシ本体、またはお手入れ用のハケに垂らし、ハケで奥まで馴染ませます
・そのまま30分ほど置いて汚れを浮かせたあと、ハケでかき出し、布で拭き取ります
・拭き取り後、3〜6時間ほど置くと油がなじみ、艶が出やすくなります

特に注意したいのが水洗いです。水に濡らすと、あらかじめ染み込ませてある椿油が抜け、光沢が失われるほか、カビやシミの原因にもなるとされています。つげブラシは水洗いを避け、椿油を使って定期的にお手入れするのが基本です。

当店の別府つげ工芸つげブラシシリーズには、椿油とハケがセットになった「お手入れセット」もご用意しています。必要なタイミングでお手入れを始められるため、はじめてつげブラシを使う方にもおすすめです。

おわりに

江戸時代中期、薩摩の武士たちの内職として始まったと伝えられる薩摩つげ櫛は、花嫁道具にまつわる風習とともに、鹿児島・指宿の土地に根づいてきました。正しくお手入れをしながら使うことで、つげブラシは長く暮らしに寄り添う道具になります。ぜひ日々のお手入れを楽しみながら、育てるようにお使いください。

▶ 別府つげ工芸 つげブラシ(お手入れセット付きも選択可)を見る


参考:薩摩つげ櫛の歴史・産地について 指宿市公式サイト「指宿まるごと博物館」薩摩つげ櫛 / 鹿児島県指定伝統的工芸品について 鹿児島県公式サイト / 素材・お手入れ方法について 別府つげ工芸公式サイト「素材」・「お手入れ」

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